デザイン思考が腑におちた

デザイン思考が流行している。
情報系学生の中でこの分野の勉強をしたいと思っている人は、極めて多いと思う。その証拠に、本学のコース選択で一番人気はデザインとメディアである。ソフトウェアやビジネスはかつての勢いはない。

私は、情報システムの開発においてデザインが重要であることは理解している。しかし、デザインが全てではないとも思っている。ソフトウェア設計、システムアーキテクチャ、要求分析など、多くの技術が関わるのである。納得できないまま現在に至っていた。

ところが、最近私の専門であるプロセスデザインの研究を進めていく過程で、思わぬことに気がついた。
プロセスデザインとデザイン思考は同じ考え方を源泉としていたのである。
それはLAP(Language/Action Perspective 言語行為パースペクティブ)という考え方である。

LAPは1987年にスタンフォード大学のウィノグラードとフローレスによって提唱されたシステムデザイン論である。
・人間の知識の本質は行為にある。だから、上手く行為する人ほど高度な知識を持っている。
・人と人は言語によって行為する。だから、言語に基づいて行為を改善するほど能力が高まる。
LAPとは以上のような考え方である。

その後、フローレスはLAPをビジネスプロセスデザインに、ウィノグラードはLAPを計算機インタフェースデザインに応用した。
私は前者のビジネスプロセスの研究に携わっていたのであるが、うかつにも後者の計算機インタフェースの研究を気にしていなかった。
ところが、ウィノグラードの計算機インタフェースの研究はインタラクションデザインへと発展し、デザイン思考へとつながっていったのである。
すなわち、LAPはビジネスプロセス研究のベースであり、デザイン思考のベースでもある。ワオ!

「人間の言語行為に着目して物事をデザインする」
デザイン思考の本質は要求分析の方法論なのである。それを理解して腑におちた。