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LAP解説(1.はじめに)

これから、LAP(Language/Action Perspective)という新しいシステム設計論を解説していこうと思います。LAPは、人や組織が協調して仕事を行なう際の相互作用のメカニズムを考えるもので、コミュニケーションの動的かつ静的なネットワークモデルを提供します。この理論は、フェルナンド・フローレスとテリー・ウィノグラードのコラボレーションにより1987年に提案されました。

フローレスはチリの政治家で、1970年に成立したサルバドール・アジェンデ社会主義政権で財務大臣など各種閣僚を務めました。しかし、1973年のクーデターで投獄され、1976年に米国に亡命しました。そして、スタンフォード大学の研究員となりそこでウィノグラードと出会います。その後、カリフォルニア大学バークレー校に移り、1979年にヒューバート・ドレイファスやジョン・サールなどの指導の元で哲学の博士号を取得しました。

ウィノグラード人工知能研究者で、1972年にSHRDLUシステムによる自然言語研究で顕著な成果を出しました。しかし、コンピュータに人間と同等の認知能力を与えるという人工知能研究の目標と可能性に疑問をもちました。そして、フローレスと出会い、これまでの合理的な伝統に依らない新たな認知論の研究をフローレスと一緒に開始しました。

その成果の集大成がLAPであり、1987年に出版された名著「コンピュータと認知を理解する」にまとめられています。一般読者向けにわかりやすく記述されており、平賀譲氏による日本語訳も素晴らしいです。是非ご一読ください。

このLAPの根底にあるのは、”オートポイエーシス”というシステム論と、”言語行為論”という言語学と、”解釈学的現象学”という哲学です。これらについては、第3章で説明します。